複層ガラス

複層ガラス

複層ガラスとはスペーサーと呼ばれる金属部材で、2枚のガラスの間に中空層を持たせたガラスです。
2枚のガラスの間に空気層を挟み込むことによって断熱性能を向上させてあります。

スペーサーを用いて保たれた空間には、乾燥空気を封入してあります。
冷暖房効果の低下や、結露の発生など、熱の移動によって、住まいの快適さを損なう様々な問題が起こります。

複層ガラスは、熱が最も移動しやすい「窓」の断熱性能を高め、それらの問題の多くを解決します。
また、結露などを減少させてくれます。
乾燥空気の代わりにガスを注入したり、真空にして断熱効果を高めたものもあります。

製造工程

素板切断・洗浄・乾燥     スペーサー
矢印

2枚のガラスの周辺部にスペーサーをセット

矢印
封着剤で周囲を密封

矢印
乾燥・養生

矢印
検査

矢印
製品

Low-E複層ガラス 断面図

Low-E:Low Emissivity(低放射)の略で、複層ガラスのうち、その内面部に特殊な金属膜を設けたものをいう。
◇ガラス内面に光を透過し熱を選択反射する特殊金属膜がコートされている。

1:中空層。乾燥中空層が複層ガラスの断熱性能を確保します。
2:アルミスペーサー。ガラスの間隔を保ちます。また、ホロー部には乾燥剤が入っています。
3:乾燥剤。中空層を長期間、乾燥状態に保ちます。
4:封着剤(二重シール構造)
 1次シール(内部側)ガラスとスペーサーのすき間から大気中の水分が浸入されるのを防ぎます。
 2次シール(外部側)複層ガラスの構造を保ち、1次シールを保護します。

■放射率について
 一般的な1枚ガラスが放射率0.85程度なのに対し、
 Low-Eガラスは放射率が0.1以下になるのが普通。
 この放射率が低ければ低いほど、赤外線を反射させ熱を通さない。

材料放射率
アルミニウム0.02~0.1
鉄(酸化面)0.5~0.9
ゴム0.95
セラミック0.95

遮熱型と断熱型 複層イメージ

[遮熱型]
 室外側ガラスに金属膜がコートされていて、太陽熱を反射して熱の室内への流入を遮断する。

[断熱型]
 室内側ガラスに金属膜がコートされていて、部屋の暖房熱を反射して外に出さない。

省エネルギー効果 熱貫流率の表

熱貫流率とは何? 熱還流率

1時間あたり、ガラス1㎡を通過する熱量をワットで表したものが
『熱貫流率(U値)』で、数値が小さいほど断熱性に優れていることを表します。
単位は「W/㎡・K」ワット・パー・ヘイベイ・ケルビン」と読みます。

結露防止効果 [室内温度 20℃、湿度60%]

ガラス種類結露する室外温度
3mm単板8℃
3mm/6mm空気層/3mm-2℃
3mm/12mm空気層/Low-E 3mm-22℃

表面処理ガラス

表面処理ガラス

板ガラスは組成が均一で耐候性もあり安価な材料である。
板ガラスに表面処理をすることによって各種の機能性ガラスが製造されている。

板ガラスの表面処理の分類
○表面を削り取る(エッチング、ノングレア)
○表面を改質する(化学強化、着色)
◎表面にコートする(表面処理の主流)

表面を削り取る(エッチング、ノングレア)

代表的な処理方法

名称原理注意点
サンドブラスト高圧空気と一緒に研磨剤を吹き付けて、ガラスに擦り模様をつける。粉塵処理
ガラスに傷をつけるので強度が弱くなる。
フッ酸処理ガラスをフッ化水素溶液に浸漬すると、ガラスに含まれるケイ酸と反応してガラスを腐食する。また硫酸との混合で、腐食の程度が変わる。フッ酸は劇薬で、皮膚に付くと容易に浸透して骨を冒す。
フロステック®フッ酸と同様の作用で、ガラスのフロスト加工が可能である。ガラス材料や目的によって薬剤の種類が豊富である。劇薬でないので取り扱いが容易である。

表面を改質する(化学強化、イオン交換着色)

化学強化ガラス(イオン交換ガラス)

交換前
歪点以下(400~450°C程度)でNa+とK+のイオン交換を行う
交換後
イオン半径が大きいK+が入ってくるが、骨格に阻まれて広がることができないので表面近傍に圧縮応力が発生する

イオン交換着色 ガラス表面のアルカリイオンを、銀および銅イオンで交換反応を起こさせ、 銀や銅のコロイドで着色する方法である。

①イオン交換反応
②金属イオンの内部拡散
③中性原子への熱還元
④金属コロイドへの凝集(発色)

銀の発色:イエロー、グリーン、アンバーで通常は濃いアンバー色
銅の発色:フロートガラスの錫面では透明赤、非錫面では加熱温度に応じてイエローやグリーンが得られる。
用  途:理化学用ガラス器具(メスシリンダー、ビューレット)の目盛線
     フォグランプの非球面レンズのイエロー着色

表面にコートする(表面処理の主流)

板ガラス表面へのコート法

分類方法特長実施例
スプレイ加熱した板ガラスに溶液をスプレイして膜を形成する。□膜厚精度が低い
□膜の付着強度大
□材料に制約がある
□パターニング困難
酸化錫膜(ネサ)
(SnO2+Sb2O3
○融雪信号燈
スクリーン印刷必要な材料をインクにして印刷焼成する。 □ダイレクト・パターニング
□膜厚精度は低い
□厚膜が可能
□インクの開発がポイント
自動車用
リヤー・デフォッガー
(Agペースト)
浸漬法(CLD法)
Chemical Liquid Deposition
液体の中に板ガラスを浸漬してメニスカスを利用してコートする。 □両面同時コートが可能
□大面積均一化が可能
□多層膜が可能
□材料に制約がある
○低反射ガラス
SiO2/TiO2/SiO2
(薬液例)
溶剤:ブチルアルコール
TiO2:トリブチール・チタン・トリアセテート
SiO2:エチル・シリケート
気相法(CVD)
Chemical Vapor Deposition
加熱した板ガラス上に反応に必要なガスを供給する。 □フロートでオンライン生産が可能
□膜付着強度が大
□材料に制約がある
○Low-Eガラス
 SnO2
 建築用/発熱用
○防汚ガラス
 TiO2膜( 建築用)
真空蒸着法(PVDE法)
Physical Vapor Deposition Evaporation
真空中で材料を加熱して蒸発させ板ガラス上に付着させる。 □材料の自由度は大
□大面積均一化が可能
□多層膜が可能
○自動車用ミラー
Al, Ag, Cr
スパッター法(PVDS法)
Physical Vapor Deposition Sputtering
放電によって生じたイオンを固体表面に照射して、飛び出した原子をガラスに付着させる。 □大面積均一化が容易
□製膜速度が遅い
□多層膜同時コートが可能
○Low-Eガラス
 Ag化合物と ZnO2の多層膜
 建築用/シールド
○熱線反射ガラス
 TiO2
 建築用

表面処理製品 液晶表示パネル[電気電導ガラス]
帯電防止ガラス
電磁波遮へいガラス
太陽電池カバーガラス
Low-Eガラス
低反射ガラス
ノングレア処理
スクリーン印刷
その他

合わせガラス

合わせガラス

合わせガラスとは、複数の板ガラスの間に樹脂などの中間膜を挟み、接着したガラスのこと。
高速道路での衝突事故や列車脱線事故など、窓枠が大きくゆがむほどの衝撃にも耐えられる対貫通性・耐衝撃性を持ち、
また割れた際の飛散も起きにくいため、自動車のフロントウインドシールドや路線バスの前面行先表示器ガラス、
鉄道車両の前面および側面ガラス、情報機器のモニター用ガラス、防犯ガラスとして用いられる。
また、中間膜の特性を変更することにより、紫外線・赤外線の吸収、防音、着色など、様々な付加機能を与えることも可能である。

製造工程

素板洗浄・乾燥      中間膜切断
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貼合わせ
貼合わせ

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材料積層ライン投入
材料積層ライン投入→加熱→仮圧着

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オートクレーブ
オートクレーブによる加熱・加圧処理

矢印
洗浄・乾燥

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検査

矢印
製品

特長

●飛散防止
地震・衝撃・爆風などでガラスが破損しても、破片が中間膜に強く付着し、飛散しません。ガラスが人体を傷つける事故を防ぎます。

●防犯効果
バールなど鋭利な道具を用いても、突破には長時間を要し、大きな音がするので、侵入防止に効果を発揮します。

●UVカット
高い透視性を保ちながら、人体や物品に有害な紫外線のみを、99%以上軽減させます。

●貫通防止
金属製のシャッターよりも高い耐貫通性を持つので、台風時の暴風雨や飛来物から室内を守ります。

●防音効果
単板ガラスではほとんど遮音されない人の耳に不快な2,500ヘルツ近辺を含めて、あらゆる周波数帯に対して防音の効果があります。

化学強化ガラスとは?

化学強化ガラスとは?

化学強化ガラスの原理(別名:イオン交換強化)

  • ガラス転移点以下の温度(例えば400°C)
  • 硝酸カリ溶融塩(KNO3)にガラスを浸漬
  • ガラスの表面のNa+イオンが溶融塩中のK+イオンと交換

交換前
歪点以下(400~450°C程度)でNa+とK+のイオン交換を行う
交換後
イオン半径が大きいK+が入ってくるが、骨格に阻まれて広がることができないので表面近傍に圧縮応力が発生する

「Na+」イオン半径0.95Å  < 「K+」イオン半径1.33Å
※オングストロームÅ(10-10 m=0.1nm)

矢印
室温に冷却すると表面に圧縮応力が発生する


物理強化と化学強化の断面応力分布例

化学強化ガラス
化学強化ガラス
物理強化ガラス
物理強化ガラス

化学強化の圧縮応力は物理強化に較べて非常に高く、引張応力は非常に低い。

化学強化ガラスの特徴 抜群の多様性

  • 自然破損しない      :中央引張応力が非常に小さいため、自然破損しない。
  • 優れた機械的強度     :フロートガラス < 物理強化ガラス ≤ 化学強化ガラス
  • 信じられないような曲げ強度:大きく撓んでも割れない
  • 引っ掻き傷に強い     :表面の高い圧縮応力により傷が付きにくい
  • 熱衝撃強度に強い     :薄板はフロートに較べて数倍の熱衝撃に耐える
  • 光学的な歪みがない    :低温処理の為、フロートと歪みの差がない
  • ガラスの変形がない    :低温処理による形状の変化がない
  • 厚さや形状の制約がない  :1mm以下の板厚でも可能 曲げや異形も可能
  • 軽量化          :板厚を下げても同じ強度のガラスが可能
  • 小さい寸法ができる    :物理強化ガラスに較べて寸法制限が少ない

化学強化ガラスと物理強化ガラスの特性比較

項目名化学強化ガラス物理強化ガラス
製造タクト数時間数十分
処理温度(最高)450℃程度650℃程度
光学歪み生板同等若干あり
変形(反り、撓み)生板同等若干あり 0.5%程度の反り
自然破損皆無対策が必要(ソーク、フィルム貼り)
表面圧縮応力(MPa)300~800100~120
中央引張応力値(MPa)非常に低い圧縮応力の約1/2
加工可能な板厚制限無し(3.2mm以下でも可能)制限あり(3.2mm以下は不可能)
加工可能な形状特別な制限は無い肉厚差の大きい製品は均一な強化が難しい

超強化ガラスとは

超強化ガラスとは

超強化ガラスは、網入りに代わる防耐火ガラスとして登場し、
丁寧なエッジ加工と特殊テープでエッジを保護するガラスです。
万一割れても破片は小さな粒状になり大けがを防ぎます。

分類表面応力(MPa)フロートとの強度比自然破損平坦度
超強化>150>6×××
強化>100>3~5××
倍強度25~45>>2

倍強度ガラスとは

倍強度ガラスとは

倍強度ガラスの特長
(1)特長

①曲げ強度が生板の2倍

②割れ方は生板と同様

③自然破損しない

(2)原理

①引張応力がある大きさまで破砕密度はゼロ

②強化の工程で引張応力[圧縮応力]を制御する

(3)強化との製造上の違い

①強化では圧縮応力に上限はない

②HSでは圧縮応力の上限と下限が決まっている

 [上限は破砕密度で下限は強度が生板の2倍以上]

表面応力の規格

規格表面応力値 (MPa)
ASTM-C 104824~52
JIS20~60

破砕パターン 破砕パターン[6mmT×1100mmL×360mmW] 破砕1

表面圧縮応力:38~39MPa
破砕パターンはフロート同様

物理強化ガラスとは

物理強化ガラスとは

物理強化ガラスの原理 ガラスを650℃程度に加熱急冷する事によって表面に圧縮応力が発生する。 物理ガラスの原理

加熱終了後は全体が均一温度で均一な長さであり、急冷を開始し両表面が「ひずみ点」に到達して固まると、温度の高い内部は縮むことができないので、縮むのを抑える力(引張応力)が発生し、表面には内部の引張応力に対応した圧縮応力が発生する。

物理強化ガラスの応力分布 圧縮応力 σ:表面が「ひずみ点」に到達した時の温度分布を「放物線」と仮定すると、
        圧縮応力の深さは板厚の1/6となり、圧縮応力は引張応力の2倍になる。

引張応力 σ:ガラス表面に引張応力が働いた場合、圧縮応力に相殺されて、
       直ぐには引張応力が発生しない。圧縮応力の分だけ強くなる。

応力分布

表面圧縮応力測定

◇自動測定により測定者の個人差が無い
◇データが保存されるので品質管理が容易
◇校正用基準器で機差を最小限にできる

強化ガラスの強度(落球衝撃強度) 30㎝角の中心に225gの鋼球を落下

ガラス種類板厚(mm)平均破壊高さ(㎝)
フロート6
8
12
50
55
80
強化ガラス6
8
12
370
520
650

強化ガラスはフロートの7~8倍の強度を持っている

強化ガラスの強度(熱衝撃強度) 7㎝角の試料を0℃の水中に落下

ガラス種類板厚(mm)急冷強さ(温度差℃)
0%破壊100%破壊
フロート3
5
80
60
120
100
強化ガラス5
8
12
170
170
150
220
220
200
強化ガラスはフロートガラスに比べて2~3倍の強度を持っている。

強化ガラスの破砕模様

破砕1
破砕数[40~50ヶ/5㎝□]
破砕2
破砕数[100~200ヶ/5㎝□]

強化ガラスをポンチで割った場合に、引張応力層に蓄えられた弾性エネルギーが高ければ高いほど、細かい破砕模様となる。

物理強化ガラスの自然破壊 ガラス中のNiS (0.05~0.3mmΦ)
NiSの結晶相
 α-相 : 396℃以上
    体積 81.05
 β-相 : 396℃以下
    体積 84.33
 α から βへ転換(月単位~年単位)
    NiS が引張応力域に存在すると体積膨張による自然破損の可能性がある。

ガラスの強度および破壊

ガラスの強度および破壊

ガラスの強度 ぜい性破壊
ぜい性破壊の特長
①強度の測定値はバラツキが大きい
 形状、表面の傷、熱処理不良等で変動する
②多くは表面から破壊する
③引張応力によって破壊する

ガラスの強度=破壊した時の表面の引張応力

理論強度と実用強度 [理論強度]引張方向の原子間距離(20Å)から 1×104MPa

[実用強度]1×102MPa ➡ 理論強度の1/100程度

[グリフィスの理論]ガラス表面に微細な欠点 ➡ 引張応力下の応力集中による破壊と仮定
          試料サイズの大きいものほど強度が低い ➡ グリフィスクラックの確率
          1960年代
          フッ酸処理によって表面層を十分取り除いた試料
          1×103MPa

衝撃破壊 落球破壊:1,040±10gの鋼球を落下させ、平均破壊高さを落球強度と呼ぶ。

応力分布 落球強度の低いもの
破砕パターン(A)
落球強度の低いものは粗い破砕模様
落球強度の高いもの
破砕パターン(B)
落球強度の高いものは細かい破砕模様

ガラスの割れる面 薄板と厚板の違い

薄板 厚板

曲げ強度 4点曲げ強度測定治具 [EN-1288-3-2000準拠]

magesokutei.jpg 曲げ強度測定

4点曲げ試験
4点曲げ試験
破砕パターン
破砕パターン

面内強度[同心円法] 同心円負荷曲げ試験の概念図

mennnaikyodo 面内強度測定

同心円曲げ試験
同心円曲げ試験
破砕パターン
破砕パターン

熱衝撃強度 7㎝角の試料を0℃の水中に落下

ガラス種類板厚(mm)急冷強さ(温度差℃)
0%破壊100%破壊
フロート3
5
80
60
120
100
強化ガラス5
8
12
170
170
150
220
220
200
強化ガラスはフロートガラスに比べて2~3倍の強度を持っている。

素板の平均強度 motoitakyodo

ソーダ石灰ガラスの熱的性質

ソーダ石灰ガラスの熱的性質

ソーダ石灰ガラスの熱的性質 ひずみ点:粘性流動が事実上起こらずこれ以下ではガラスの歪が除去できない

徐冷点 :内部歪が15分で除去される温度

転移点 :過冷却液体(固体)からガラス状態に変わる温度

軟化点 :自重で曲がる温度

項目代表値
ひずみ点~505℃
徐冷点~545℃
転移点~550℃
軟化点~730℃

転移温度の測定 屈伏点:力を与えると変形する温度

転移点:熱処理条件により変化

転移温度 転移点

ソーダ石灰ガラスの一般的性質

ソーダ石灰ガラスの一般的性質

屈折率 屈折率 光がある物質から別の物質に入った時に光の方向が変わる現象=屈折

変化の度合い=屈折率

真空に対する屈折率=絶対屈折率

ガラスベンジン水晶ダイヤモンド
1.521.331.501.542.42

反射率 反射率(%)=(反射光量/入射光量)X100
6㎜透明ガラスの反射率=約7.9%

これは垂直入射に対してであり、斜め入射では反射率は増大する。
入射角が60度より大きいと反射率が高くなり、光が透過しにくくなる。

比熱 1gの物質を1℃上昇させるに必要な熱量(カロリー)を比熱と呼ぶ。(単位:cal/g℃)

ガラス花崗岩アルミレキサン(ポリカーボ)
0.200.110.200.220.26~0.281.00

軟化温度 軟化温度とは決められた粘性係数になる温度を言う

0.55㎜~0.75㎜の均一直径を持った23.5㎝の長さのガラスファイバーを、
その上部10㎝を約5℃/分で温度上昇させた場合、
自重で1㎜/分の速さで伸びる温度

10 7.5(10の7.5乗)ポイズ
通常のガラス=720~730℃

熱伝導率 断面積が1㎡、長さが1mの棒を仮定。
その両端の温度差が1℃の時、1時間に流れる熱量。(単位:kcal/m・hr・℃)

ガラスアルミゴム
0.68190410.33

線膨張係数 長さがL㎝の物質の温度が1℃上昇して長さがΔL㎝膨張する時に
線膨張係数(線膨張率)αはA=(ΔL/L)/℃で表される。

伸びる量=線膨張係数×温度変化×元の長さ(単位:X10 -6/℃)
ガラスレキサンアルミ木材
8.5~9682316115~8

比重 物質1立方センチ(㎝3)の水の重さを1とした時、各物質の重さを比重と呼ぶ。

ガラスダイヤモンドレキサン松・杉
約2.57.93.51.20.5
単板ガラスの重量
板厚(mm)356810121519
kg/㎡約7約12約15約20約25約30約37約47

硬さ(モース氏硬度) 材料の硬さを表す方法には、ビッカース硬度、ロックウエル硬度、ブリネル硬度、ショアー硬度など。
ガラスの場合はモース硬さで表します。

モース硬度材料
1滑石
2石こう
3方解石
4ホタル石
5リン灰石
6正長石
7石英
8トパーズ(紅玉)
9鋼玉
10ダイヤモンド
ガラスは約6度(5と6の間)

ヤング率 ヤング率とは縦弾性係数ともいい材料の伸びやすさ、あるいは縮みやすさを示す。
たわみ計算、応力計算に使用される。

(単位:GPa)
ガラスダイヤモンドコンクリートレキサン
71.62061,000302.3
鋼はプラスチックの約100倍、ガラスの約3倍

ポアソン比 力を加えた方向の物の変形の程度と、力と直角方向の変形の割合をポアソン比と言う。

たわみ計算や応力計算に必要。

ガラスのポアソン比は約0.23です

ガラスの種類と組成

ガラスの種類と組成

ガラスの種類は非常に多く、それを化学成分、製造方法などで分類しています。
ガラスを構成する材料の種類や割合の違いにより、特長を活かして様々な用途に使われています。
以下、代表的なガラスをご紹介します。

「ソーダ石灰(ソーダライム)ガラス」建築用ガラス 建築物の窓ガラス、コップなど多くの食器類などに使われる一般的なガラス、当社が取り扱うのは主にこのガラスです。
けい酸(SiO2),ソーダ(Na2O),石灰(CaO)を主成分として、最も生産量が多いガラスです。
なおソーダというのは、ナトリウム 化合物の略称です。

組成含有量備考
珪酸(SiO270~74%主成分
アルミナ(AI2O30~2%硬度増加
石灰(CaO)6~12%耐水性増加
マグネッシャ(MgO)0~4%耐水性増加
ソーダ(Na2O)12~16%溶融性向上

「鉛ガラス」X線遮へいガラス X線検査室でX線の遮へいのほか、高級食器などにも使われるガラスです。
けい酸(SiO2),酸化カリウム(K2O),酸化鉛(PbO)を主成分とした比重が重く、柔らかいガラスです。
ソーダ石灰ガラスに比べて屈折率が高いので、光学用ガラスや装飾用ガラスに使用されます。

「ほうけい酸ガラス」耐熱ガラス 理化学容器や耐熱ガラス容器、自動車のヘッドライトなどに使われています。
理化学用ガラスとも言われけい酸(SiO2),ソーダ灰(Na2O),アルミナ(Al2O3),酸化ほう素(B2O3)を主成分としています。ソーダ石灰ガラスに比べ、熱膨張係数が小さいので熱衝撃(急激な温度変化)に強いです。また絶縁性,耐酸性が強いという特徴も持っています。

「結晶化ガラス」ニューガラス 透明防耐火ガラスなどに使われています。
けい酸(SiO2),アルミナ(Al2O3),酸化リチューム(Li2O3),酸化チタン(TiO2),ジルコニア(ZrO2)を主成分とし、ガラスとして溶融したものを成形後に再び加熱して、ガラスの中に細かい結晶を析出したものです。結晶の大きさで陶器状のものや、透明なものがあります。組成によっては、膨張係数をゼロやマイナスにすることができるので、急熱急冷に強いガラスとして活躍しています。

「石英ガラス」高純度ガラス 半導体精製容器や、高密度半導体を製造する時に必要なフォトマスク基盤(※1)などに使われています。
古典的な製法では、ほぼ100%のけい酸(SiO2)である水晶や石英の粉末を、2,000℃以上で溶融冷却して製造します。純度の高い石英ガラスを製造する場合には、四塩化珪素 (SiCl4) の気体から化学気相蒸着 (CVD) によって製造します。ほうけい酸ガラスよりもさらに熱膨張係数が低く、不純物がないため、熱に強く透明性が高いガラスです。 紫外線透過率が高いので、レンズやプリズムに適しています。

※1 「フォトマスク」とは、半導体基板に回路を転写する際の原版(ネガ)にあたるものです。高純度・高精度の石英ガラス上に電子ビームを使って精密な回路パターンが描画されています。

ガラスとは?

ガラスとは?

ASTM(※1)によるガラスの定義
  結晶を析出(※2)することなく、溶融体が冷却・固化された無機物
  金属のような「結晶体」と対比して「非結晶体(アモロファス)」と呼ぶ
  ※1 ASTM(American Society for Testing and Materials:米国試験材料協会)
  ※2 溶液またはガス体から、固体が分離して出てくること。  

製造上の特長

1.均質材料の大量生産 原料を溶融、冷却するだけであるので、均質なものが大量に得られやすい。
2.広い組成範囲 結晶質に較べて広い組成範囲が得られる。
3.微量成分溶解 各種微量成分を構造中に含有させられる。
4.各種成形法 粘度の温度変化を利用し、吹き加工、引張加工、鋳型加工などの成形法を適用でき、板,管,繊維状でμm単為からm単位まで種々の寸法に成形が可能。
5.成形後の加工 研削、研磨、結晶化などの変質も可能。

材料物性上の特長

6.均一・透明 原料を溶融、冷却するだけであるので、均質なものが大量に得られやすい。
7.非反応・不透過 化学的には比較的安定で、耐候性が良く気体や液体を通しにくい。
8.脆い固体 常温では永久に変形しないが、割れやすい。
9.電気絶縁性 普通は常温で電気を通さず、高温ではイオン電導性が顕著。
10.耐熱性 比較的高温まで軟化変形しない。