ガラスの種類と組成

ガラスの種類と組成

ガラスの種類は非常に多く、それを化学成分、製造方法などで分類しています。
ガラスを構成する材料の種類や割合の違いにより、特長を活かして様々な用途に使われています。
以下、代表的なガラスをご紹介します。

「ソーダ石灰(ソーダライム)ガラス」建築用ガラス 建築物の窓ガラス、コップなど多くの食器類などに使われる一般的なガラス、当社が取り扱うのは主にこのガラスです。
けい酸(SiO2),ソーダ(Na2O),石灰(CaO)を主成分として、最も生産量が多いガラスです。
なおソーダというのは、ナトリウム 化合物の略称です。

組成含有量備考
珪酸(SiO270~74%主成分
アルミナ(AI2O30~2%硬度増加
石灰(CaO)6~12%耐水性増加
マグネッシャ(MgO)0~4%耐水性増加
ソーダ(Na2O)12~16%溶融性向上

「鉛ガラス」X線遮へいガラス X線検査室でX線の遮へいのほか、高級食器などにも使われるガラスです。
けい酸(SiO2),酸化カリウム(K2O),酸化鉛(PbO)を主成分とした比重が重く、柔らかいガラスです。
ソーダ石灰ガラスに比べて屈折率が高いので、光学用ガラスや装飾用ガラスに使用されます。

「ほうけい酸ガラス」耐熱ガラス 理化学容器や耐熱ガラス容器、自動車のヘッドライトなどに使われています。
理化学用ガラスとも言われけい酸(SiO2),ソーダ灰(Na2O),アルミナ(Al2O3),酸化ほう素(B2O3)を主成分としています。ソーダ石灰ガラスに比べ、熱膨張係数が小さいので熱衝撃(急激な温度変化)に強いです。また絶縁性,耐酸性が強いという特徴も持っています。

「結晶化ガラス」ニューガラス 透明防耐火ガラスなどに使われています。
けい酸(SiO2),アルミナ(Al2O3),酸化リチューム(Li2O3),酸化チタン(TiO2),ジルコニア(ZrO2)を主成分とし、ガラスとして溶融したものを成形後に再び加熱して、ガラスの中に細かい結晶を析出したものです。結晶の大きさで陶器状のものや、透明なものがあります。組成によっては、膨張係数をゼロやマイナスにすることができるので、急熱急冷に強いガラスとして活躍しています。

「石英ガラス」高純度ガラス 半導体精製容器や、高密度半導体を製造する時に必要なフォトマスク基盤(※1)などに使われています。
古典的な製法では、ほぼ100%のけい酸(SiO2)である水晶や石英の粉末を、2,000℃以上で溶融冷却して製造します。純度の高い石英ガラスを製造する場合には、四塩化珪素 (SiCl4) の気体から化学気相蒸着 (CVD) によって製造します。ほうけい酸ガラスよりもさらに熱膨張係数が低く、不純物がないため、熱に強く透明性が高いガラスです。 紫外線透過率が高いので、レンズやプリズムに適しています。

※1 「フォトマスク」とは、半導体基板に回路を転写する際の原版(ネガ)にあたるものです。高純度・高精度の石英ガラス上に電子ビームを使って精密な回路パターンが描画されています。

ガラスとは?

ガラスとは?

ASTM(※1)によるガラスの定義
  結晶を析出(※2)することなく、溶融体が冷却・固化された無機物
  金属のような「結晶体」と対比して「非結晶体(アモロファス)」と呼ぶ
  ※1 ASTM(American Society for Testing and Materials:米国試験材料協会)
  ※2 溶液またはガス体から、固体が分離して出てくること。  

製造上の特長

1.均質材料の大量生産 原料を溶融、冷却するだけであるので、均質なものが大量に得られやすい。
2.広い組成範囲 結晶質に較べて広い組成範囲が得られる。
3.微量成分溶解 各種微量成分を構造中に含有させられる。
4.各種成形法 粘度の温度変化を利用し、吹き加工、引張加工、鋳型加工などの成形法を適用でき、板,管,繊維状でμm単為からm単位まで種々の寸法に成形が可能。
5.成形後の加工 研削、研磨、結晶化などの変質も可能。

材料物性上の特長

6.均一・透明 原料を溶融、冷却するだけであるので、均質なものが大量に得られやすい。
7.非反応・不透過 化学的には比較的安定で、耐候性が良く気体や液体を通しにくい。
8.脆い固体 常温では永久に変形しないが、割れやすい。
9.電気絶縁性 普通は常温で電気を通さず、高温ではイオン電導性が顕著。
10.耐熱性 比較的高温まで軟化変形しない。