物理強化ガラスとは

物理強化ガラスとは

物理強化ガラスの原理 ガラスを650℃程度に加熱急冷する事によって表面に圧縮応力が発生する。 物理ガラスの原理

加熱終了後は全体が均一温度で均一な長さであり、急冷を開始し両表面が「ひずみ点」に到達して固まると、温度の高い内部は縮むことができないので、縮むのを抑える力(引張応力)が発生し、表面には内部の引張応力に対応した圧縮応力が発生する。

物理強化ガラスの応力分布 圧縮応力 σ:表面が「ひずみ点」に到達した時の温度分布を「放物線」と仮定すると、
        圧縮応力の深さは板厚の1/6となり、圧縮応力は引張応力の2倍になる。

引張応力 σ:ガラス表面に引張応力が働いた場合、圧縮応力に相殺されて、
       直ぐには引張応力が発生しない。圧縮応力の分だけ強くなる。

応力分布

表面圧縮応力測定

◇自動測定により測定者の個人差が無い
◇データが保存されるので品質管理が容易
◇校正用基準器で機差を最小限にできる

強化ガラスの強度(落球衝撃強度) 30㎝角の中心に225gの鋼球を落下

ガラス種類板厚(mm)平均破壊高さ(㎝)
フロート6
8
12
50
55
80
強化ガラス6
8
12
370
520
650

強化ガラスはフロートの7~8倍の強度を持っている

強化ガラスの強度(熱衝撃強度) 7㎝角の試料を0℃の水中に落下

ガラス種類板厚(mm)急冷強さ(温度差℃)
0%破壊100%破壊
フロート3
5
80
60
120
100
強化ガラス5
8
12
170
170
150
220
220
200
強化ガラスはフロートガラスに比べて2~3倍の強度を持っている。

強化ガラスの破砕模様

破砕1
破砕数[40~50ヶ/5㎝□]
破砕2
破砕数[100~200ヶ/5㎝□]

強化ガラスをポンチで割った場合に、引張応力層に蓄えられた弾性エネルギーが高ければ高いほど、細かい破砕模様となる。

物理強化ガラスの自然破壊 ガラス中のNiS (0.05~0.3mmΦ)
NiSの結晶相
 α-相 : 396℃以上
    体積 81.05
 β-相 : 396℃以下
    体積 84.33
 α から βへ転換(月単位~年単位)
    NiS が引張応力域に存在すると体積膨張による自然破損の可能性がある。

ガラスの強度および破壊

ガラスの強度および破壊

ガラスの強度 ぜい性破壊
ぜい性破壊の特長
①強度の測定値はバラツキが大きい
 形状、表面の傷、熱処理不良等で変動する
②多くは表面から破壊する
③引張応力によって破壊する

ガラスの強度=破壊した時の表面の引張応力

理論強度と実用強度 [理論強度]引張方向の原子間距離(20Å)から 1×104MPa

[実用強度]1×102MPa ➡ 理論強度の1/100程度

[グリフィスの理論]ガラス表面に微細な欠点 ➡ 引張応力下の応力集中による破壊と仮定
          試料サイズの大きいものほど強度が低い ➡ グリフィスクラックの確率
          1960年代
          フッ酸処理によって表面層を十分取り除いた試料
          1×103MPa

衝撃破壊 落球破壊:1,040±10gの鋼球を落下させ、平均破壊高さを落球強度と呼ぶ。

応力分布 落球強度の低いもの
破砕パターン(A)
落球強度の低いものは粗い破砕模様
落球強度の高いもの
破砕パターン(B)
落球強度の高いものは細かい破砕模様

ガラスの割れる面 薄板と厚板の違い

薄板 厚板

曲げ強度 4点曲げ強度測定治具 [EN-1288-3-2000準拠]

magesokutei.jpg 曲げ強度測定

4点曲げ試験
4点曲げ試験
破砕パターン
破砕パターン

面内強度[同心円法] 同心円負荷曲げ試験の概念図

mennnaikyodo 面内強度測定

同心円曲げ試験
同心円曲げ試験
破砕パターン
破砕パターン

熱衝撃強度 7㎝角の試料を0℃の水中に落下

ガラス種類板厚(mm)急冷強さ(温度差℃)
0%破壊100%破壊
フロート3
5
80
60
120
100
強化ガラス5
8
12
170
170
150
220
220
200
強化ガラスはフロートガラスに比べて2~3倍の強度を持っている。

素板の平均強度 motoitakyodo